学会概要
誰しもが子ども時代をあたたかく育まれ、また大人になってもなお遊ばせる対象としている「おもちゃと人形」は、その本来の重要性にもかかわらず「たかがおもちゃ、たかが人形」として社会的には今までその研究がとかく軽視されてきました。こうした社会的偏見を是正しつつ、その意義を改めて問い直し、かつ学問的にこれを深めていくことは、極めて大切であると確信します。
日本人形玩具学会は、この確信のもとに、平成元(1989)年に誕生しました。
そして、この目的を達成するためには、これまで各専門分野で仕事をしてきた研究家たちが、その境界を取り払い互いに手をたずさえて、ひとつの横断的な学会を形成することが必要となります。
そこで発足にあたり、人形・玩具に関わるそれぞれの立場を、次の10の項目(実際の研究・仕事では重なることも多いですが)に分類整理してみました。
①あそぶ
②あつめる
③つくる
④えんじる
⑤こころみおこなう
⑥しらべる
⑦しらせる
⑧あきなう
⑨たもちならべる
⑩おもいめぐらす
「人形・玩具学」の確立に向けて、10項目の立場から会員同士が情報や知識を交換・共有し合い研究を広め深め合うとき、社会および文化の中における人形と玩具の価値はきっと明らかになっていくことでしょう。
2024年には創立35周年を迎えた本学会は、初代会長・代表委員は染織服飾研究第一人者の北村哲郎氏(東京国立博物館名誉館員・元文化庁文化財監査官)で、2代目会長は人形美術家・アニメ作家として著名な川本喜八郎氏、その後は会長・代表理事には小林すみ江氏(人形の吉徳資料室顧問)、そして増淵宗一氏(日本女子大学名誉教授)となって引き継がれてきました。
どうぞ本学会の今後の活動にご期待ください。
そして世界中に存在する「おもちゃと人形」の研究報告や文化交流を通して日本さらには世界中が平和に幸福になることを願っています。
また、本学会の意義を理解される方々のご参加を心よりお待ちしています。